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墨のゆらめき 三浦しをん [作家ま行]


墨のゆらめき

墨のゆらめき

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/05/31
  • メディア: 単行本



ホテルマンの続力は、
お得意様の「お別れの会」を行うにあたり、
筆耕士・遠田薫に招待状の宛名書きを依頼する。

自宅で書道教室を営み、
自らも書道家として活動する遠田は、
亡くなった先代の養子ではあるが、
書の才能は確かな男だった。

続は、昔から人に心を許されやすい。

遠田も例外なく、
幾度となく続を呼び出しては、
代筆の文を考えさせたり、
一緒に酒を飲んだり、
徐々に、近しくなっていった。

がさつで、風変りな遠田だったが、
真剣に書に向かい、作り上げた文字は、
書家の姿、思い、魂が映し出され、
その歴史や風景、人々の息吹をも網羅し、
見る者にとてつもない感動を与えた。

続は、そんな遠田の書を見るのが
とても好きだった。

ある日突然、遠田はホテル宛のメールで、
ホテルの筆耕士を辞めると伝えてきた・・

続は、理由を聞きに遠田宅を訪れ、
遠田から衝撃的な話を聞くこととなる・・・










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宙ごはん 町田 そのこ [作家ま行]


宙ごはん

宙ごはん

  • 作者: 町田 そのこ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2022/05/27
  • メディア: 単行本




複雑な家庭環境。

悲しみに暮れる幼い宙の心を解かしてくれた
佐伯が作る「パンケーキ」

その温かさと優しい口当たり、
とろける美味しさに救われ、
今日まで過ごしてこれた。

宙が辛い時、
駆けつけてくれた佐伯はもういない。



宙は、母の妹である風海に育てられた。

小学校に上がる時、
妹夫婦の海外赴任を機に、
母である花野と一緒に暮らし始める。

宙は、我が道を行く花野の振舞いが、
不安だった。

ここに居ていいのだろうか・・

そんな宙を、
花野の知り合いである佐伯が、
幾度も幾度も救ってくれた。


花野は、厳しい祖父母に虐げられ育った。

花野を置いて違う男と出ていった母。

後に、その母が、
この実家に妹にあたる娘・風海を連れて戻ってきた。


花野を縛り付けていた家の呪いは、
大人になった今でも彼女を苦しめ続けていた。

花野は、愛され方、愛し方を知らない。


そんな花野を慕う佐伯は、
本当の花野を知っていた。


花野、宙、佐伯の作る料理が、
微妙な温もりを持ち始め、
それぞれの心の中を満たしていく。

やがて宙は、花野を理解する。


佐伯は、花野への叶わぬ思いに区切りをつけ、
別の女性と結婚し「ビストロサエキ」を続けていく。

そんなある日、
飲酒運転の車が、
佐伯の乗るバイクに衝突、
佐伯は亡くなった。

幾度となく、
心の弱った人たちを救ってきた佐伯。
心のこもった温かい食事の前では、
皆、素直になれた。


受け取った愛情は、
今度は、別の人に分ける。

花野の覚悟、

宙の覚悟・・・・。












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その本は 又吉直樹・ヨシタケシンスケ [作家ま行]


その本は

その本は

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/07/26
  • メディア: 単行本



「その本は」で始まる
作者2人が交互に語る独特なお話。

奇想天外な話から、
切ない物語、
空想の世界や、謎めいた話など、
ある時は、本が擬人化されていたり・・
哲学的だったり・・。

たまにクスッとしたり、
うるっときたり・・・。

あまりに独特なので、
先入観なしに、肩の力を抜いて読める
不思議な感覚。



ある王国に、本の好きな王様がいました。

年老いて目が悪く、もう本を読むことが出来ない。

そこで、この2人に、頼んだ。

世界中の珍しい本を知るものから、

その本についての話を聞き、

その話を聞かせてくれと。


1年後、2人は1晩ずつ交代で、
色々な人から聞いた色々な本の話を
王様に、話した。








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N 道尾秀介 [作家ま行]


N

N

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/10/05
  • メディア: 単行本



6章からなる物語。
読む順番は、自分で決める。

はじめに、それぞれの章の冒頭部分があり、
読みたい章から読み始める・・。

720通りの読み方があります。

色々な角度からの視点で徐々に広がる世界、
過去のエピソードは、
現在を語る大事なエッセンス。

一章おきに、上下反転して印刷されているので、
本を回転させながら読み進めていきます。

今までに出会ったことのない本です。


いなくなったペットを探す探偵・江添正見。
遠洋漁業の漁師・ニシキモ(錦茂)
中学時代から描かれる、飯沼知真(カズマ)

それぞれの人生に関わる人たち。


海面に咲く大きな白い花は希望の光。

雲の隙間から射し込む5つの光が、
ゆっくりと海面に広がり、
5枚の花びらに変わっていく。


私は、冒頭部分の紹介順に読み進めました。
最後に、もう一度一番最初に読んだ章を
読み返し、そうか!と納得したり・・。

ああ、あの時の・・。

何気に繋がると、物語がより立体感を増します。



以下は、集英社の本紹介の一部です。

「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。
「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。
定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。
殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。
ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。
殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。





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星を掬う 町田そのこ [作家ま行]


星を掬う (単行本)

星を掬う (単行本)

  • 作者: 町田 そのこ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/10/18
  • メディア: 単行本



52ヘルツのクジラたち」で
2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさんの作品。
こちらも、2022年本屋大賞のノミネート作品です。

母と娘。

普通の母娘とは、
一体どんなものなのだろうか。



子どもの頃に、
母に捨てられ、父も祖母も亡くなり、
ひとりになった千鶴が唯一掴んだ結婚生活。

素敵だと思った夫は、
ろくでもないDV夫だった。

逃げられない。

究極の決断をした時、
身の上を投稿したものがラジオで採用され、
そのつてで、
捨てられた母と再会する。



母が住む家には、
母に助けられ、母をママと呼ぶ恵真、
介護士の彩子がいた。

DV夫から逃れるため、
そこに千鶴も住むようになる。

ずっと憎み続けてきた母。

捨てられたせいで、
私の人生はめちゃくちゃになってしまった。

その思いを、
乱暴にも本人にぶちまけた。



そんな母は、
若年性認知症になっていた。

徐々に病気が進行していく母を前に、
弱かった自分、
そして母の気持ちがわかり始める。

本物の自分になりたかった母。
母も苦しんでいた。
祖母の呪縛から逃れるために・・


自分の不幸はすべて、母のせいにして、
思考を止めてきた千鶴。


自分のままでいたい。


母の選択は、自分と、
愛する娘の幸せを思うための
行動だった・・。





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