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川のほとりに立つ者は 寺地 はるな [作家た行]


川のほとりに立つ者は

川のほとりに立つ者は

  • 作者: 寺地 はるな
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2022/10/20
  • メディア: 単行本



2023年本屋大賞にノミネートされた作品。


カフェの店長を務める清瀬

最近、恋人である松木の様子に
首を傾げていた。

そんな時、松木が大怪我をし、意識不明になった。

松木の「隠し事」を探っていく清瀬。

松木の部屋で見つけたものは、
拙い文字が並ぶ練習ノートとその記録だった・・


松木と共に大怪我をした松木の幼馴染の樹。

清瀬は、松木と樹の秘密の約束を知る。


樹が思いを寄せる天音。
ある時、樹は天音に文通しようと誘われる。

樹は文字がうまく書けない。

一生懸命に書いた手紙。

思いが通じたのかその後、
恋人に暴力を振るわれていると、
弁当屋の樹の実家に身を寄せる事となった天音は、
とんでもなく深い闇があった・・

樹と松木の意識が戻った。

事の真相が明らかになった・・

そして、天音は姿を消した


計り知れない心の痛みは、
容易に癒える事はない

絡み合った彼女の深い苦しみが、
少しづつ解けていきますように・・



「川のほとりに立つ者は、
水底に沈む石の数を知り得ない。・・・

その石は様々な名で呼び分けられる、
怒り、痛み、悲しみ、あるいは希望・・」







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嘘つきジェンガ 辻村深月 [作家た行]


噓つきジェンガ

噓つきジェンガ

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/08/25
  • メディア: 単行本



社会にはびこる様々な犯罪、詐欺。

自分だけは大丈夫。


不安な気持ちを包み込む希望と思える甘い言葉。

気付けば・・・・・。


そんなつもりじゃなかった・・

こんなはずじゃなかった・・


一歩、足を踏み入れてしまったら、
後には引けない。


踏み込んだ先に見えたもの。

行きつく場所を更に乗り越えた時、
新たな自分を発見する。


そんな、3編の小説です。

詐欺を題材にし、
ここまでの結末に出来る・・

流石です。








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しろがねの葉 千早 茜 [作家た行]


しろがねの葉

しろがねの葉

  • 作者: 千早 茜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/09/29
  • メディア: ハードカバー



第168回直木賞受賞作。

山の中で見つけた光る葉。
葉脈の1本1本が夜空の星を集めたかの如く、
瞬いている。
銀を吸うシダ「蛇の寝ござ」
それは、銀の鉱脈を知らせる。

親から離れ、ひとり山中を歩くウメは、
その美しさに息を呑む。


戦後末期の石見銀山。

幼少のウメは、天才山師である喜兵衛に拾われた。

銀掘たちは、銀の発掘のため、
間歩を掘る。

「銀龍の如き大きな鉉の在処」

誰もが探し当てたい場所。


女は間歩に入る事は疎まれる。

幼少時、喜兵衛に連れられ、
機敏に間歩を行き来し、
鉉の在処を教えられたウメだったが、
次第に間歩から遠ざかる。

慕う喜兵衛は、もういない。

ウメは、昔から知る銀堀の隼人と
家族を作る。

銀堀が罹る肺の病は、
男たちの命を、次々に奪っていく。

隼人もウメの元からいなくなった。

息子も、幼き頃より知る龍も亡くなった。


ウメの、女性であるがゆえの苦悩。

生き抜くために壮絶な人生を行く。











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闇祓 辻村深月 [作家た行]


闇祓

闇祓

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: 単行本



辻村深月さん初の本格ホラーミステリ長編。

【闇祓(ヤミハラ)
闇ハラスメントとは、
精神・心が闇にあることから生ずる、
自分の事情や思いを相手に押し付け、
不快にさせる言動。行為。
本人が意図する、しないに関わらず、
相手が不快に思い、
自身の尊厳を傷つけられたり、
脅威を感じた場合はこれにあたる。(本文中より)】


世の中に蠢く闇。

心の隙間に入り込み、
より深く浸透させる。

自分の闇を押し付け、
相手の闇を引き出し、追いつめ、
思考力、気力を奪い、
理性を失わせ、人格まで変え、
そして周りの人間を死や闇に引きずり込む。

澪が通う高校に転校してきた要。
不気味で距離感が異様で、怖い存在だった。

「家に行っていい?」

突然の言葉に、澪は恐怖を感じ、
同じ部活の先輩に相談する。

その神原先輩は、
澪を守ってくれていた・・
しかし、徐々に威圧的に、
執拗に追いつめるようになり・・


闇で人の心を取り込んでいく者たちは、
家族を装い、
世の中に溶け込んでいる。

祓う者たちによって、
自らが退治される直前に、
力を他人に移す。

取り込まれた者は、
同じ様に闇を押し付けていく・・。

澪が見た者たち。

それは、世の中のほんの一部なのかもしれない。










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凍りのくじら 辻村深月 [作家た行]


凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/14
  • メディア: 文庫



氷原の中、身動きできなくなったくじらは、

やがて、力尽き、

深い海の中、人知れず彷徨う

光となって、辿り着く先は、

かけがえのない場所


写真家の父、芹沢光は、
病に侵された身の置き所を、
自分で決めた。

母と理帆子を残して消えた

理知的でいつも全てを客観視し、
周りに溶け込んでいるようで、
どこか冷めた心を持つ理帆子。

父の影響で、ドラえもんが大好きで、
尊敬する藤子先生がいう
「少し不思議」の言葉から
周りを「少し、・・・」と名付け
心の距離を置く。
そんな自分を「少し、不在」と。

唯一同類と信じていた元彼・若尾は、
自我の塊で、自ら優れていると信じ、
他人を見下し、理想と夢だけで生きていた。

理帆子は、若尾が崩れていく様が見たかった。

しかし若尾は、執拗に理帆子に執着した。

怖くなった理帆子は、
壊れゆく若尾の自尊心を傷つけ、突き放した。

若尾を甘くみていた・・


全てが、次元が違うものと思っていた。

しかし、人は変わっていく。

理帆子が心から安心して話せる別所先輩。

全て隠さずなぜか話せる相手の存在で、
人としての心に触れた。

病床の母の死が迫っていると実感した時、
孤独感が深い闇となって押し寄せた。

寂しい、不安な気持ち・・。


そして、
大切な人を守りたいという気持ち・・。



迫りくる困難に立ち向かうための

強い光は、

理帆子のこころの根源となり、

その光は、この先も受け継がれていく。










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