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エレジーは流れない 三浦しをん [作家ま行]


エレジーは流れない

エレジーは流れない

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2021/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



真っ直ぐで純朴な仲間たちや、
人情溢れる周りの大人たちに囲まれて、
とても温かい田舎町に生まれ育った少年のお話。

軽快で心地よい爽快な文章は、
人物や風景を容易に想像することが出来ます。
とても明るい青春小説です。


かつて温泉地として栄えていた餅湯温泉。

古い町並みの土産屋に母と2人、
家を手伝いながら高校に通う怜。

周りには、個性豊かな友達がたくさんいる。

騒がしい友人たちと共に、楽しく毎日を送っていた。


怜には、母親が2人いる・・。

小さな時から、2人の間を周期的に行き来する。

そんなある日、怜にそっくりな男が現れ・・

・・・

とんだ盗難事件にも関わったり、
結構、刺激がある生活でもあるのだが、
やはり田舎の絆は、太く強く、
温かいのである・・






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人間 又吉直樹 [作家ま行]


人間

人間

  • 作者: 又吉 直樹
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本



過去の自分

今の自分

自分にとって消し去りたい過去も、
他人から見れば、色々な見え方をしていて、
考え方も千差万別であり、
肯定、否定、両方が存在する。

創作の闇からの光は、
歓喜と解放と共に、
現実と無意識の世界をごちゃ混ぜにする。

激情から発する言葉は、
やがて自分を追い詰めていく。

全て間違ってはいない


全てわかったかのように、
上辺だけの薄っぺらい論理で綴られた批評。

かつての知り合い同士の炎上に、
自らの心にも刺さることに、動揺する。


僕は、全ての過去を受け入れ、
新たな本を出した。

賞を取り、地元での祝いの会で、
開けっ広げの父親や、笑顔の母や、
親戚たちに囲まれ、
温かい様々な魂に触れた気がした。


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52ヘルツのクジラたち 町田そのこ [作家ま行]





2021年本屋大賞受賞作です。
声なき声、切なく響く音
聞き取ってくれる人は、唯一の存在。


「52ヘルツのクジラとは-
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、
世界で一頭だけのクジラ。
たくさん仲間がいるはずなのに何も届かない、
何も届けられない。
そのため、世界で一番孤独だと言われている」帯より



切なく悲痛な日々

強い絆がいのちを繋ぐ

母から愛されなかった子
何度酷い目にあっても
ただ母の笑顔が見たかった

いのちの灯りが消えようとしていた

その時出会ったアンさんは、
かつての親友、美晴と共に
私を救ってくれた

魂の番(つがい)
ひとには、愛を注ぎ注がれるような
たったひとりの人がいる

私は愛をはき違えてしまった。
叶わない愛にしがみついてしまった。

全力で、アンさんは
道を誤った私を助けようとしていたのに・・。


私は今、一人小さな海辺の町にいる。
何もかもなくしてしまった。

海岸でひとりの少年と出会う。
声を出せない少年は、かつての自分と同じ境遇だった。

彼もまた、”52ヘルツのクジラ”だった。

私を救ってくれたアンさんのように、
私も彼に寄り添い、力になりたい

もう、何も失いたくはない



私は、何も知らなかった

アンさんは、苦しんでいた。
私とは違う境遇の
”52ヘルツのクジラ”だった・・。




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さよならの儀式 宮部みゆき [作家ま行]


さよならの儀式

さよならの儀式

  • 作者: 宮部みゆき
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: ハードカバー



8つ作品、それぞれの異なる展開と結末に翻弄され、
その都度余韻を残しつつも、
更なる驚きと新たな世界観に度肝を抜かれる
ディープな宮部ワールドに何度も引き込まれます。


謎を残した親子の再会。

突如現れる監視カメラの不穏な気配。

過去の自分に会う。異次元からの気付き。

心を持ったロボットとの別れ。

異星人との共存の悲劇。

黒き救世主出現の危うさ。

屍者が暮らしたかつての村落。

死者を蘇らせた帰還者の住む町。



凄すぎるの一言。
最期のページを閉じた瞬間、
唸ってしまいました。

思い描く情景に陰影が広がり、
未知なる恐怖と遭遇するような
冷酷で無機質な世界に飲み込まれていく。

色々な意味で
奥深い物語です。


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いけない 道尾秀介 [作家ま行]





謎解き小説。
連鎖する4章の短篇。

『本書のご使用法-
・まずは各章の物語に集中します。
・章末の写真をご覧ください。
・「そういうことだったのか」
だまされる快感をお楽しみください。
*再読ではさらなる驚きを味わえます。』(帯より)


「弓投げの崖を見てはいけない-」

自殺の名所といわれる崖。
運転中にその崖を見て、死者と目があうと・・

崖近いトンネル出口で起きた事故。
一人の犠牲者が出た。
しかしその事故は、単独ではなく、
ある若者たちが絡んでいた。

犠牲者の親族の復讐。
心の隙間に入り込む新興宗教。
因縁のある刑事たち。

それぞれの思惑が、
さらなる悲劇を呼ぶ。


最終章-街の平和を信じてはいけない

一見、平和そうな日常に潜む裏の顔。
何食わぬ顔で、生きる人々。
誰にでもある心の奥の陰。

未解決事件の真相を知る者は、
当事者のみ。


罪深きは、沈黙。







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