ハッピーライフ 北大路公子 [作家か行]
エッセイストの北大路公子氏が描く
連作短編SF小説。
いつもの笑えるエッセイとは全く違い、
かなり衝撃的な小説でしたが、
空想、妄想好きの北大路さんであるがゆえの
奇想天外な展開になっていて、
摩訶不思議な世界を体験させてもらいました。
均された世界。
負の感情も、傷ついた心も、
入れ替わることで、
やがて遠く儚く消えていく・・
周期的に体が入れ替わり、
波打つ感情が消えゆく人類。
別人と化す事で、
均され、穏やかで平和な世に・・。
傍にいる夫も、
中身は夫なのだが、変化するので
今では顔すらも覚えていない。
一見穏やかな日常は、
感情のないまま、ただ流れていく。
上手く入れ替われなかった人に残る膜。
激しくドロドロとした残思。
取り除く事で、均される。
しかし、幾重にも重なり続けた膜は、
やがて固定化し、
入れ替わる事が出来なくなる。
世の中には、入れ替わらない人も混在していて、
その存在が危惧されている。
本当に危険なのは、
どちらなのだろう・・・