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青空と逃げる 辻村深月 [作家た行]


青空と逃げる (単行本)

青空と逃げる (単行本)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本



いつまで逃げ続ければいいのだろう

息子と二人で、逃げ続ける日々は、

いつも不安と隣り合わせだった


芸能事務所の怖い連中が追ってくる。

夫の居場所は、知らない

目的は事故を起こした女優の車に同乗していた夫。

その後、その女優は自殺した。


事情も呑み込めないまま、

執拗な取材をするマスコミたちから逃げた

東京から逃げた。


息子の存在だけが、生きる希望だった

どんなことがあっても、

この子を守らなければ・・


移り住む町

定住することは、出来ない

それでも、生きるために前を向く


夫が仙台に居る・・

話を聞きたい


一縷の望みを胸に、

たどり着く地で、

2人に課せられた試練とは・・


夫の真実

息子の気持ち



やっと、辿り着く地には、

青空がどこまでも続いていた






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母がしんどい 田房永子 [作家た行]


母がしんどい

母がしんどい

  • 作者: 田房 永子
  • 出版社: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2012/03/23
  • メディア: 単行本



毒母に育てられた娘の話。

テレビで毒母の特集があり、この本に出会い、
「私だけじゃないんだ」と励まされたというのを見て、
ぜひ読んでみたいと思いました。


「あなたの為を思って言っているのよ」

自分の思うとおりにならないと、
突如、豹変する母。
怒鳴り散らし、罵倒し、私を傷つける。

いつしか、母の顔色を見て行動するようになった。

いい子でいることが、自分を守る事だと思った。


「私の言うとおりにしていればいいのよ」

逃げたくても逃げられない。

早く大人になって、家を出たかった。

支配され続け、自我も自信もなく、ただ苦しかった。


自立して、家を出た。

しかし、毎日のように鳴り響く電話。

味方だと思っていた父からの
恩着せがましい母と同類の内容の手紙。

住所と電話番号を変え、
親には知らせなかった。

そんな私も結婚をし、良い旦那様にも恵まれた。

子どもができた。

自信がなかった。

私も、あんな親になるのか、
私は、どうしたらよいのか。

神経内科の先生に、言われた。

「ひとりで頑張ったね。えらかったね。
あなたは、一つも悪くない」

「親に、会わなくていいんです」


・・・


親に近況を知らせた。


自分の中が怒りの感情でいっぱいになったとき、

爆発させる前に、自分の心を見る。

「怒っているな」

ん。待てよ。そんな怒る事じゃないよな。


・・・


母には、その声がなかったのかもしれない。






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噛みあわない会話と、ある過去について 辻村深月 [作家た行]


噛みあわない会話と、ある過去について

噛みあわない会話と、ある過去について

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社: 講談社
  • 発売日: 2018/06/14
  • メディア: 単行本



4つの短篇です。
中の1作「ママ・はは」は、
「宮辻薬東宮」
に載っています。


現在と過去。

自分と他人。

それぞれ歩んできた道、
良くも悪くも年を重ねていく中で、
徐々に変わっていく。



昔の男友達の結婚。
嫁の査定は、余計なお世話。



昔の教え子の兄が、今や人気絶頂アイドル。
パッとしない子だったと、
周囲に過去を触れまわる教師。
食い違う両者の言い分。
余計なお世話・・。



地味で嫌われ者だった彼女が、
今や、カリスマ学習塾経営者。
小学校時代、友達に囲まれ人気者だった自分が、
雑誌の記事の為に、取材に行く。
複雑な心境の中で、ずっと自分が優位だと思っていた。
その思いが、無残にも打ちのめされたのは、
取材が終わった後だった。



それぞれの思い出の濃さは、良いと悪いとでは、
お互いにおける記憶の割合は、真逆だ。
仕打ちを受けた方は、鮮明に覚えている。
そのエネルギーは、計り知れない。


無暗に、他人の事を触れまわると、
大きなしっぺ返しが来る。


他人は他人。


余計なお世話なのである。






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かがみの孤城 辻村深月 [作家た行]


かがみの孤城

かがみの孤城

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社: ポプラ社
  • 発売日: 2017/05/11
  • メディア: 単行本



2018年本屋大賞受賞作品。

ファンタジーでありながら、ズシリと重い。
それでいて、壮大な物語。


不登校児の内なる孤独と、
世の中の理不尽さ。
学校に行きたくても行けない辛さ。

同じ思いの子たちは、たくさんいる
分かってくれる人が絶対いる

「闘わなくていいんだよ」

信じてもいい人かもしれない。


突如、現れたかがみの中の城。

集められた7人は、
いずれも心に闇を抱えていた。
日中に開かれるかがみの通路。
個室もあり、自由に過ごしてよいが、
午後5時を過ぎると、
城の番人であるオオカミに食われるという。

この城は、3月30日まで。
それまでに、「願いの部屋」の鍵を見つけなければならない。

「鍵を見つけた者の、願いを叶えよう。」


いじめを受けて、不登校になったこころ。
城で出会った子たちと、
徐々に慣れ親しんでいく。
外の世界でも会いたいと思うようになるが・・・。

会いたくても、会えない。


なぜなのか。


この先、こころたちは、どう変化していくのか。






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クローバーナイト 辻村深月 [作家た行]


クローバーナイト

クローバーナイト

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社: 光文社
  • 発売日: 2016/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



現代の子育て世代に贈るエール。

保育園事情、過熱するお受験事情。

育児にまつわる昔と現代の考え方の差、

一筋縄ではいかない子育ての歯がゆさを描く。


家族の一人ひとりが、クローバーの一枚の葉。

全てが繋がり、ナイトが守っていく。

家族の絆は、何よりの心の支え。


鶴峯家のパパ・裕と、ママ・志保が、

自ら2人の子育てをしながら、

色々な人の様々な形の育児の悩みを目の当りにする。


志保本人の母からのプレッシャーは、

長年の胸のつかえだった。

愛情と言う名に隠れた、母の自己陶酔の押しつけに、

志保の心の容量が溢れかけた瞬間、

夫・裕の機転が志保を救う。



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