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ハヤブサ消防団 池井戸潤 [作家あ行]


ハヤブサ消防団

ハヤブサ消防団

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/09/05
  • メディア: 単行本



池井戸潤さんの長編ミステリ小説。

ドラマ化されて、7月からの放送です。

まさに池井戸潤マジック。

読み進めていく中で、
怪しげな人物が浮上しては・・・・。

読者を振り回し続けるいくつもの謎。
それに纏わる緊迫感は、
最後まで続きます。


ミステリ作家である美馬太郎は、
亡き父のかつての住居であるハヤブサ地区に
移り住む。

この長閑な集落であるハヤブサ地区には、
この地区で起こる火事現場にいち早く出向き、
消火活動をする「ハヤブサ消防団」があり、
深く地域に根付いていた。

太郎は、「ハヤブサ消防団」に誘われ、
その一員となる。


この小さな田舎で次々に起こる不穏な事件。

変死体、連続放火・・。

そして、ある集団の気配が・・。


作家・美馬太郎が、
一連の謎の真相を突き止め、
負の連鎖を断ち切るために、
自らの危険も顧みず、突き進む。








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ただいま神様当番 青山 美智子 [作家あ行]


ただいま神様当番 (宝島社文庫)

ただいま神様当番 (宝島社文庫)

  • 作者: 青山 美智子
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2022/05/10
  • メディア: 文庫



毎朝「坂下」のバス停に並ぶ5人。

その決まった顔ぶれは、
7時23分発のバスを待つ。

そのバス停に置かれた「落とし物」

ある時は、「CD」
またある時は、「エナメルの腕時計」、
「ワイヤレスイヤホン」、「黒い折り畳み傘」、
「一万円札」

それは、その時々のバス停到着一番乗りさんが、
欲しいもの・・

持ち帰った事で、『神様当番』決定!!

腕にハッキリ書かれた『神様当番』

小柄で痩せていて、
頭頂つるつるで両サイドはふさふさ白髪、
エンジ色の長袖ジャージ姿の老人が、
突如現れ、わしは神様だという。

そして、お願い事をしてくる。

神様のお願い事を叶えるまで、
当番は続く。

普段、神様はお当番さんの手のひらに潜む。

時々、勝手に動いたりもする。

神様の願いを叶えた時、
腕の文字は消え、神様はいなくなった。

そして、願いを叶えた者たちは、
気持ちが晴れやかになり、
自信が漲り、前向きになれた・・。


神様の願いは・・・

自らの願いなのかもしれない。









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おまえなんかに会いたくない 乾ルカ [作家あ行]


おまえなんかに会いたくない (単行本)

おまえなんかに会いたくない (単行本)

  • 作者: 乾 ルカ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/09/08
  • メディア: 単行本



高校卒業10年後、
同窓会が開かれることになった。

開設されたSNS上に謎の人物からの投稿。

「岸本李矢さんを覚えていますか」

「タイムカプセルに遺言墨で書いたメッセージを
入れた人がいますが知っていますか」

その瞬間から、
平穏に暮らしていた同級生たちの気持ちが
ざわつき始める。

かつて、
いじめられ、卒業前に転校していった岸本。

そして、遺言墨の言い伝え。

「その墨で書いたものは、
必ず相手に内容と真意を伝えることが出来る。
しかし、それが最後のメッセージとなる。」

今回、同窓会で校庭に埋めたタイムカプセルを開封する。


高校でのクラス内カースト。
カースト上位の者は下位を見下し、
下位の者は意見すら出来ない。

カースト最上位であった井ノ川は、
名の知れた女子アナになっていた。
同窓会の頼まれ幹事だ。

学生時代から纏うオーラが違った。
彼女は何もしなくとも、
周りが彼女の意を汲み動く。

いつしか異質だった岸本が、
孤立していった。


直接口に出して攻撃した者、
態度に表した者、
井ノ川の周りの者たちの焦りは、
遺言墨の煽りも拍車をかけ、
黒い記憶となって充満する。

一番わかっていたのは、
井ノ川だった。

それぞれの思いを持ったまま、
問題の同窓会が行われた。

そして、タイムカプセルの開封。

果たして・・・・





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風と行く者 上橋菜穂子 [作家あ行]


風と行く者 (新潮文庫)

風と行く者 (新潮文庫)

  • 作者: 上橋 菜穂子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/07/28
  • メディア: 文庫



守り人シリーズ外伝です。

若き頃のバルサと在りし日のジグロが
かつて護衛したサダン・タラム。

20年が経過し、
再びこの集団を護衛することになったバルサ。
懐かしいかつての日々を回想しながら、
繰り返される諍いから、
代替わりしたサダン・タラムの女頭の命を守る。


真実は、エウロカ・ターン〈森の王の谷間〉に。


年に1度この地で、流水琴を奏で、
鎮魂の儀礼を行う
サダン・ターンの女頭エオナ。

このエウロカ・ターンに葬られた過去。
決して明かしてはならない秘密を守ろうと、
サダン・タラムの進行を阻止しようとする者と
バルサは闘う。

系統の違う民族であるマグア家とアール家。
和睦への道のりは実に長く、
氏族同士の諍いは、燻り続ける。

国の安泰を願うロタ王国のイーハン陛下の元、
ある打開策が繰り広げられる・・











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同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬 [作家あ行]


同志少女よ、敵を撃て

同志少女よ、敵を撃て

  • 作者: 逢坂 冬馬
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/11/17
  • メディア: 単行本



2022年本屋大賞受賞、
第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

緊迫した戦場、臨場感、
知られざる戦争の裏側も、
恐ろしいほどに過酷な真実として、
この小説は教えてくれた。


戦争は、全て男の立場から語られる。

殺戮の惨さ、戦闘の激しさ、
敵との戦いやその勝敗。

決して忘れてはならない。

その陰で、人道から外れた女性たちへの恥ずべき行動、
仕打ち、そして女性たちの蔑まれた命を。



かつて、ソ連には女性狙撃兵が実在していた。


第二次世界大戦、独ソ戦禍。
少女セラフィマは母や村を失う。

母を撃ったドイツ狙撃手、
母たちの遺体を焼いたイリーナ、
この2人を倒す目的を支えに、
生きる道を選んだ。

ソ連赤軍女性兵士イリーナは、
そんなセラフィマを、
自らの手で狙撃兵に育て上げる。

セラフィマは、強くなるために、
憎むべきイリーナの元、訓練を積む。

ソ連優勢とはいえ、
戦場は激しさを増し、
次々と同士は命を落とした。

それぞれの信念の元、
貫き通す強さは、生きるために一番大切なものだ。

イリーナの「なんの為に闘う」問いに、
狙撃手となったセラフィマは、
「女性を救うために闘う」と答えた。

いつしか、セラフィマは、
イリーナが与えた憎しみという怒りは生きる糧、
遺体焼却は腐敗による弊害を防ぐ措置
すなわち誤解なのだと、彼女の真髄を知る。


両軍夥しい死者が出た戦いは、
ソ連が勝利した。

そして彼女たち狙撃兵の役目も終わった。


兵士たちには何も残されてはいない。

「愛する人を持つか、生きがいを持て」

憧れの女性兵士が教えてくれた言葉だった。



一番、語られなければならない
戦争の裏、奥に葬られた事実や、
残された兵士たちの精神論は、
国家としてはもとより、
各人無言のまま、それぞれの胸に深く沈んでいった。









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