しろがねの葉 千早 茜 [作家た行]
第168回直木賞受賞作。
山の中で見つけた光る葉。
葉脈の1本1本が夜空の星を集めたかの如く、
瞬いている。
銀を吸うシダ「蛇の寝ござ」
それは、銀の鉱脈を知らせる。
親から離れ、ひとり山中を歩くウメは、
その美しさに息を呑む。
戦後末期の石見銀山。
幼少のウメは、天才山師である喜兵衛に拾われた。
銀掘たちは、銀の発掘のため、
間歩を掘る。
「銀龍の如き大きな鉉の在処」
誰もが探し当てたい場所。
女は間歩に入る事は疎まれる。
幼少時、喜兵衛に連れられ、
機敏に間歩を行き来し、
鉉の在処を教えられたウメだったが、
次第に間歩から遠ざかる。
慕う喜兵衛は、もういない。
ウメは、昔から知る銀堀の隼人と
家族を作る。
銀堀が罹る肺の病は、
男たちの命を、次々に奪っていく。
隼人もウメの元からいなくなった。
息子も、幼き頃より知る龍も亡くなった。
ウメの、女性であるがゆえの苦悩。
生き抜くために壮絶な人生を行く。
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