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海馬の尻尾 荻原浩 [作家あ行]


海馬の尻尾

海馬の尻尾

  • 作者: 荻原浩
  • 出版社: 光文社
  • 発売日: 2018/01/17
  • メディア: 単行本




面白かったです。

場面が鮮やかに浮かんできて、

物語に引き込まれていきます。




恐怖や共感、

人として大切な部分が俺には欠落していた。

ヤクザな稼業を天職だと思っていた。

他人を殺めても、何も感じない。

昔、義父に折檻され続けたせいか、

それとも・・・。


頭に血が上って、殺ってしまった。

相手は、他の組の組長だった。

オヤジに止められていたにも関わらず、

本能の赴くままに。


人を人と思えない。

「反社会性パーソナリティ障害」

海馬の先の扁桃体の欠如。

陥れるために悪知恵は働く。

知能は並より良いらしい。


「アルコール中毒を治せ」

同時にアル中でもあった俺。

オヤジに勧められた医者・桐嶋の治療は、

山中にある隔離施設で行われた。

目を付けられていたので、

身を隠すのにちょうどいいと思った。



病院で出会った少女・梨帆。

誰も寄り付かない俺に、妙に懐く。

梨帆も、恐怖を知らない病気らしい。

疲れた横顔の母親と共に、何故か気になっていた。


隔離施設に、梨帆もいた。

一緒に、外で体操する時が、楽しみだった。

初めての感情だ。


そこには、様々な症状の患者がいた。

月日が経ち、治療が進むにつれ、

異常な行動を起こすものが多くなってきた。

過酷な治療がそうさせるのか?

明らかに悪くなっている。

おかしい


その頃、梨帆が具合が悪いと体操に出てこなくなった。

様子を見ようと、小児のE棟に忍び込む。

変わり果てた梨帆を見た。

これは、ただ事じぇねえ。


ここは、とんでもないところだ。

逃げなければ、殺されちまう。


俺は、梨帆を連れて逃げることを決めた。








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