紙の梟 ハーシュソサエティ 貫井徳郎 [作家な行]
「人、ひとりを殺したら、死刑になる」
この法律が制定された世の中、
人々の考え方が変容した。
〈殺さなければ、半殺しにしてもいい。
目を潰し、舌を切り、手足の指を切り・・〉
〈友達を守るために、咄嗟に殴って殺してしまった。
殺意はなかったにせよ、ひとり殺してしまった事実。
そうか、もう何人殺そうが関係ないんだ・・〉
〈いじめを苦に自殺した中学生。
加害者の情報がネットに出回る。
その加害者を殺す。
自分で命を絶つ勇気がない者が選んだ道。〉
ネットの流れは死刑容認派が多く、
反対する者は、徹底的に叩かれた。
突然、俺の恋人が殺された。
後に発覚した彼女の事実は、衝撃的なものだった。
名前を何度も偽り、男から金を巻き上げる・・
俺に対してもそうだったのだろうか・・。
彼女の真実を知るため、過去を探り始める。
辿り着いた場所で、見たものは・・
彼女を殺した犯人は、
金を巻き上げられた父親の息子だった。
俺は、生きて罪を償って欲しいと心から思った。
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