犬がいた季節 伊吹有喜 [作家あ行]
一匹の犬が結ぶ強い絆。
時代の変遷と共に綴られる物語に、
どこか懐かしく感じる青春小説。
昭和の終わりから12年、
子犬で拾われた時から、
たくさんの若者たちに囲まれ、
様々な人の思いを見てきた。
ぼくの名前は、コーシロー。
八稜高校の生徒・早瀬光司郎の席にいたから。
美大を目指す光司郎は、
一見クールだけど、とても優しい。
どこか懐かしいパンの香りがする塩見優花。
3世代で営むパン屋。
男尊女卑が根強い家で、高校生活を送っていた。
迷い犬のポスター作りでの縁。
優花と過ごした季節は、
光司郎にとっても、犬のコーシローにとっても、
かけがえのない時間だった。
学校での風景は、
桜の季節と共に移り変わり、
ぼくのための「コーシロー会」は
引き継がれていく。
色々な人の匂いを知った。
人の香りは、感情によって変化する。
甘い香りが強くなった時、
ぼくは応援するんだ。
ぼくの周りの人たちは、
皆、温かい。
かけがえのない日々を、
送ることができた。
最初に愛情をくれた優花さん。
あなたの香りは、決して忘れない。
あの優しい香りが、あなたに
この先ずっと続きますように・・。
コメント 0