失われた町 三崎亜記 [作家ま行]
三崎亜記さんの新刊「刻まれない明日」を読む前に、
同じ舞台となるこの「失われた町」を読んでみました。
到底考えつかない世界でした。
町自体が、命あるもののような存在であり、
そこに住む人々は、
誰も逆らえず、町の思うままに
従わざるをえない。
町が消滅すると、
住民たちも、おのずと消滅する。
失われた人々に関するものは、
すべて撤去し、
消滅した月ヶ瀬に関する本や資料も
すべて回収し、
町の存在を消さなければ、
消滅の連鎖が起こり、
他の町も取り込まれてしまう。
消滅を逃れた月ヶ瀬の人は、
記憶を奪われていた。
また、大事な人を月ヶ瀬で失った人は、
悲しむと取り込まれるので、
平静を装わなければならない。
次の消滅を防ぐ為に、
様々な実験が繰り返される。
携わる人たちもまた、
過酷な運命を背負っていた。
それぞれの意志で、
歩む道を決め、
失われた人々を想いながら、
与えられた運命を
これからも生きていく。
☆☆☆
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