新参者 東野圭吾 [作家は行]
昔ながらの情緒あふれる日本橋で、
女性が絞殺された。
着任したての刑事・加賀が、
この街の隅々まで、
独自の観察力、洞察力で、
調べ上げ、犯人に迫る。
小さな事も見逃さず、
推理の理由づけを徹底的に探す。
加賀の人柄なのか、
関わった人たちは、
様々な形で日常に起こった心のわだかまりを解消し、
和みを手に入れた。
人情味あふれるこの街の新参者・加賀の物語。
9章で構成されています。
一つ一つの章で、ドラマがあります。
いがみ合った嫁姑の、
心のどこかで、信頼し尊重しあっているという
心底の部分を浮き彫りにさせたり、
お客本人が癌であることを隠すために、
ウソの証言をして、不利になった保険外交員を
真実の方向に導いたり・・・
ついには、組んでいた先輩刑事の過去と、
犯人の心情が同じであるということを重ね合わせ、
この刑事に語らせることで、
犯人に最終供述をさせてしまう。
体裁を保つために、
子どもの罪を庇い、隠し通す。
さらに自らも、手をかしてしまう。
その結末は、両者とも取り返しのつかない事になってしまった。
子どもであっても、
悪は、悪と知らしめなくてはならない。
その時は、苦渋の決断であっても、
後々、善の道に進むことに繋がるのだ。
流石。
もの凄く読みやすく、
どんどん進みます。
情景が見事に浮かぶ事はもちろん、
人物の心情が手に取るようにわかり、
物語に引き込まれます。
加賀恭一郎シリーズの最新作です。
(加賀恭一郎シリーズ・・「卒業」「眠りの森」
「どちらかが彼女を殺した」「悪意」
「私が彼を殺した」「嘘をもうひとつだけ」「赤い指」)
☆☆☆☆☆
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