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架空の犬と嘘をつく猫 寺地はるな [作家た行]


架空の犬と嘘をつく猫 (中公文庫)

架空の犬と嘘をつく猫 (中公文庫)

  • 作者: 寺地 はるな
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/12/23
  • メディア: 文庫



嘘には、ついていい嘘と悪い嘘がある。

僕は、やるせない思いと報われない寂しさに
苛まれた時、
空想の世界に身を置き、
架空の犬を撫でる。


幼くして不慮の事故で亡くなった弟。

弟を溺愛していた母。

母は嘆き苦しみの果て
弟は生きていると
自らの信じる世界に入ってしまった。

嘘を守り続ける僕。
弟の名前で手紙を書き続けた。


羽猫家には、
祖父、祖母、父、母、姉の紅、弟の青磁
そして長男の僕・山吹がいた。

遊園地を作ると壮大な夢を持つ祖父、
骨董品屋を営む祖母、
面倒な事から逃げる父、
嘘は大嫌いで真っ直ぐな紅。

青磁の死から、
家族は皆、バラバラになってしまった。

決して向けられなかった
山吹と紅への母からの愛。

山吹は、母を救いたいと同時に
自分も救いたかったのかもしれない・・。


やがて、大人になり、家族を作り、
大事な人を守ろうとした時、
自分の進む未来へ向かおうと思った。


無駄なものはなにもない。

娯楽であれ、妄想であれ、
心の拠り所として、必要だ。

人は、特別何も出来なくても、
存在するだけで、意味は絶対にある。




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コメント 2

U3

そうだね。
人を騙すために生まれてきたような人間でなければ全ての人には生きる価値も意味もある。
by U3 (2021-11-19 09:52) 

pon

世の中、色々な人がいますよね。
悲しい事に、平気で騙す事が出来る犯罪者がいるのも事実です。
by pon (2021-11-19 19:59) 

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