しろがねの葉

  • 作者: 千早 茜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/09/29
  • メディア: ハードカバー



第168回直木賞受賞作。

山の中で見つけた光る葉。
葉脈の1本1本が夜空の星を集めたかの如く、
瞬いている。
銀を吸うシダ「蛇の寝ござ」
それは、銀の鉱脈を知らせる。

親から離れ、ひとり山中を歩くウメは、
その美しさに息を呑む。


戦後末期の石見銀山。

幼少のウメは、天才山師である喜兵衛に拾われた。

銀掘たちは、銀の発掘のため、
間歩を掘る。

「銀龍の如き大きな鉉の在処」

誰もが探し当てたい場所。


女は間歩に入る事は疎まれる。

幼少時、喜兵衛に連れられ、
機敏に間歩を行き来し、
鉉の在処を教えられたウメだったが、
次第に間歩から遠ざかる。

慕う喜兵衛は、もういない。

ウメは、昔から知る銀堀の隼人と
家族を作る。

銀堀が罹る肺の病は、
男たちの命を、次々に奪っていく。

隼人もウメの元からいなくなった。

息子も、幼き頃より知る龍も亡くなった。


ウメの、女性であるがゆえの苦悩。

生き抜くために壮絶な人生を行く。