実家の亀が死んだ。
2か月程前だ。

44年間、一匹水槽で暮らしていた石亀。

オスかメスかわからなかったので
時に「かめごろう」、
またある時には「かめこ」と呼ばれ、
一家の歴史をじっと見つめてきた。

あの日、元気がなかった。

夏は大好きで、活発に動き、
エサもたくさん食べる。

でも、エサは放置され、
じっと動かず、静かだった。

実家の亀は死なないと思っていた。

誰よりも長生きすると思っていた。

冬場、水槽の水が凍結しても、
甲羅の中に手足頭全てを入れて耐え忍び、
解氷とともに顔を出した強靭なカメ。

凄い生命力だった。


でも、死んでしまった。

母は、庭のさくらんぼの木の横に埋めたそうだ。


犬猫のように、なついたりじゃれたりはしないけど、
子どもの時から静かにそっとそばにいた。

子どもの頃は、たまに水換え、エサやりなどしていたけれど、
私も弟も独立し、その後は全部母が世話をしていた。

時々かまうと、指をエサだと思って、
水槽越しに口を開くおまぬけぶりは44年間変わらず
周りを和ませてくれた。


思い出すと、涙が止まらまい。


ありがとう。

お疲れ様・・